風博士

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風博士
作者 坂口安吾
日本の旗 日本
言語 日本語
ジャンル 短編小説掌編小説
発表形態 雑誌掲載
初出情報
初出 『青い馬』1931年6月号(第2号)
刊本情報
刊行 山河書院 1948年
収録 『黒谷村』 竹村書房 1935年
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風博士」(かぜはかせ)は、坂口安吾掌編小説である。1931年(昭和6年)6月1日発行の雑誌『青い馬』(岩波書店、1931年 - 1932年)第2号に掲載され、発表された。

概要

1930年(昭和5年)11月、24歳の坂口安吾が葛巻義敏江口清らと創刊した同人誌『言葉』が翌1931年の第2号で廃刊となり、その後継誌『青い馬』を同年5月に創刊した。翌月1日の第2号に坂口が執筆、掲載した小説が『風博士』である。同作は、発表と同時に牧野信一から絶賛され、島崎藤村に賞賛された『黒谷村』とともに、坂口が「作家」として認められていくきっかけとなった作品のひとつとなった。

本作は、第二次世界大戦前に発表されたごく初期の作品であるが、坂口の死後もウェブブラウザ「風博士」のネーミングの由来となったり、翻案作品も創作されるなど根強い評価を得ている。

2005年2月17日に著者である坂口の没後50年が経過したため著作権が消滅し、現在、青空文庫で読むことができる。

あらすじ

風博士の自殺を偽装した嫌疑をかけられている主人公が警察に対して、蛸博士との確執により風博士が自ら死を選んだこと、風博士が消えた状況から自殺は明白であること、などを語る様を滑稽に描くナンセンス作品。

登場人物

書誌情報

同作の所収雑誌、書籍の一覧である。

  • 『青い馬 第2号』、岩波書店1931年6月1日 ※初出
  • 『黒谷村』、竹村書房、1935年
  • 『風博士』、山河書院、1948年
  • 『風博士・夜長姫と耳男』、ほるぷ出版、1985年
  • 『日本探偵小説全集 10』、創元推理文庫、1985年 ISBN 4488400108
  • 『昭和文学全集 12』、小学館、1987年 ISBN 4095680121
  • 『坂口安吾全集 1』1989年 ISBN 4480024611
  • ちくま日本文学全集『坂口安吾』、ちくま文庫、1991年 ISBN 448010206X
  • 『木枯の酒倉から・風博士』、講談社文庫、1993年 ISBN 4061962159
  • 『日本幻想文学集成 31』、富士川義之編、国書刊行会、1995年 ISBN 4336032416
  • 『図書カードNo.42616 - 風博士』、青空文庫、2006年
  • 『桜の森の満開の下・白痴 他12編』、岩波文庫、2008年 ISBN 9784003118221

翻案作品

ラジオドラマ

風博士〜坂口安吾「風博士より」〜』と題して1989年別役実の作演出、中村伸郎すまけい高木均高樹沙耶の出演、多田和弘の演出によりラジオドラマ化されている。同年5月27日NHK-FM放送FMシアター」で放送された。

舞台(2003年)

劇団21世紀FOXの第53回公演のタイトルも『風博士-KAZE HAKASE』(作北村想、演出肝付兼太、2003年)である。

舞台(2019年)

シス・カンパニー公演 日本文学シアターVol.6【坂口安吾】「風博士」』と題し、シス・カンパニー北村想が日本文学へのリスペクトを込めてオリジナル戯曲を上演する「日本文学シアター」シリーズの第6弾として、北村の脚本、寺十吾の演出で2019年11月から2020年1月にかけて東京・世田谷パブリックシアターおよび大阪森ノ宮ピロティホールにて上演された[1][2]

キャスト

スタッフ

上演日程

脚注

[脚注の使い方]
  1. ^ “北村想脚本「風博士」開幕に、中井貴一「さまざまに想像できる余韻を残せたら」”. ステージナタリー (ナターシャ). (2019年12月1日). https://natalie.mu/stage/news/357698 2020年5月6日閲覧。 
  2. ^ “シス・カンパニー『風博士』が開幕、中井貴一・段田安則・吉田羊・渡辺えりのコメント到着”. SPICE (イープラス). (2019年12月1日). https://spice.eplus.jp/articles/261987 2020年5月6日閲覧。 

関連項目

外部リンク

  • 『風博士』:新字新仮名 - 青空文庫
  • 『風博士』:新字旧仮名 - 青空文庫
  • 坂口安吾デジタルミュージアム - 新潟市主宰のサイト
  • SIS company inc. Web produce シス・カンパニー公演 風博士
坂口安吾の作品
文芸作品・自伝小説
  • 木枯の酒倉から
  • ふるさとに寄する讃歌
  • 風博士
  • 黒谷村
  • 海の霧
  • 霓博士の廃頽
  • 竹薮の家
  • 蝉――あるミザントロープの話
  • 姦淫に寄す
  • 蒼茫夢
  • 金談にからまる詩的要素の神秘性に就て
  • 逃げたい心
  • をみな
  • 狼園
  • 吹雪物語
  • 閑山
  • 紫大納言
  • 木々の精、谷の精
  • 篠笹の陰の顔
  • イノチガケ
  • 風人録
  • 波子
  • 島原の乱雑記
  • 真珠
  • 二十一
  • 黒田如水
  • 鉄砲
  • 露の答
  • わが血を追ふ人々
  • 白痴
  • 外套と青空
  • 女体
  • いづこへ
  • 戦争と一人の女
  • 石の思ひ
  • 続戦争と一人の女
  • 恋をしに行く
  • 道鏡
  • 私は海を抱きしめてゐたい
  • 家康
  • 風と光と二十の私と
  • 花妖
  • 二十七歳
  • 桜の森の満開の下
  • 金銭無情
  • オモチャ箱
  • 青鬼の褌を洗う女
  • 二流の人
  • 三十歳
  • 織田信長(未完)
  • にっぽん物語(火)
  • 天明太郎
  • 肝臓先生
  • 街はふるさと
  • 女忍者使ひ
  • 夜長姫と耳男
  • 信長
  • 梟雄
  • 握つた手
  • 女剣士
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  • 光を覆ふものなし―競輪不正事件
  • 安吾史譚
  • もう軍備はいらない
  • 人の子の親となりて
  • 坂口安吾下田外史
  • 安吾新日本風土記
  • 砂をかむ
戯曲
  • 麓(未完)
  • 輸血
翻訳
  • プルウストに就てのクロッキ(マリイ・シェイケビッチ)
  • ステファヌ・マラルメ(ヴァレリー
  • エリック・サティ(コクトー
  • いんそむにや(ロジェエル・ヴィトラク(英語版)
  • 我等が鳥類(トリスタン・ツァラ
関連項目
関連カテゴリ
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