汚れた街

汚れた街
スティーヴィー・ワンダーシングル
初出アルバム『インナーヴィジョンズ
リリース
規格 7インチ・シングル
ジャンル ソウルミュージック
時間
レーベル モータウン
作詞・作曲 スティーヴィー・ワンダー
プロデュース スティーヴィー・ワンダー
チャート最高順位
スティーヴィー・ワンダー シングル 年表
ハイアー・グラウンド
(1973年7月)
汚れた街
(1973年10月)
くよくよするなよ
(1974年3月)
インナーヴィジョンズ 収録曲
Side One
  1. 「トゥ・ハイ」
  2. 「愛の国」
  3. 汚れた街
  4. 「ゴールデン・レディ」
Side Two
  1. ハイアー・グラウンド
  2. 「神の子供たち」
  3. 「恋」
  4. くよくよするなよ
  5. 「いつわり」
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汚れた街」(Living for the City)は、アメリカ合衆国の歌手であるスティーヴィー・ワンダーの1973年のヒット・シングルで、ワンダーのアルバム『インナーヴィジョンズ』に収録されている楽曲である。Billboard Hot 100で最高8位を記録し[2]、Billboard R&Bチャートでは1位を記録した[3]トントズ・イクスパンディング・ヘッド・バンド(英語版)の低いスロウなシンセサイザーの音によって、緊張感と社会への怒りが表現されている。なお、この曲は「ローリング・ストーンの選ぶオールタイム・グレイテスト・ソング500」では104位にランクインしている[4]

解説

歌詞は、鋭い社会的な実録で、ミシシッピで厳しい生活を送る少年の物語から始まる。少年の家族はとても貧しく、食べ物もお金も不足し人種差別もある中、両親は住み込みで一生懸命に働いて彼を励ます。曲が進むと、緊張感と欲求不満による怒りがワンダーのうなり声で表現される。

間奏部では、青年となった主人公の少年が初めてニューヨークへ行った話が挿入されている。青年は麻薬を輸送したとの疑いで、逮捕されて10年の禁固刑を受ける。ワンダーの声はさらに緊張感を増して怒ったうなりにあふれるが、曲の終わりではポジティブに納まっていく。ラジオでのエアプレイでは、主人公が独房に入れられるシーンで「ニガー」という言葉が使われているため、寸劇部分は削除されている。また、最後の2節についても、同様に削除されている。

チャート・パフォーマンス

チャート 最高位
Billboard Hot 100[2] 8
Billboard Hot Soul Singles 1
全英シングルチャート 15

カバー

  • レイ・チャールズは、1975年のアルバム『Renaissance』で採り上げている[5]。寸劇部分では、チャールズが絶望的なほどの貧困さを語る。このチャールズのバージョンは、グラミー賞最優秀R&B楽曲賞を受賞している[6]。ワンダーは、チャールズに感謝しており、2人はテレビ収録でデュエットでこの曲を共演した。
  • イギリスヘヴィメタル・バンドのギランによるカバーは、1982年のアルバム『マジック』に収録され、同作からの第1弾シングルとしてもリリースされて[7]全英シングルチャートで50位に達した[8]
  • また、イアン・ギランは、ピクチャー・ディスク・シングルとしてこの曲を発売した。
  • イギリスのハードロック・バンドのサンダーのメンバーであるダニー・ボウズルーク・モーリーがこの曲をカバーし、彼らのアルバム『Mo's Barbeque』に収録された[9]
  • ジャズ・ピアニストのラムゼイ・ルイスは、1974年のアルバム『Sun Goddess』にインストゥメンタル・バージョンを収録した[10]
  • この曲とオージェイズの「For The Love Of Money」のメドレーが、女性ラッパーのクィーン・ラティファらに演奏された。このメドレーはマリオ・ヴァン・ピーブルズ監督の1991年の映画『ニュー・ジャック・シティ』で効果的に使用された。
  • スパイク・リー監督の映画『ジャングル・フィーバー』では、タージ・マハルでの麻薬密売のシーンでこの曲がフィーチャーされている。
  • アメリカのコメディアンのリチャード・プライヤーは、1976年のアルバム『…Is It Something I Said?』でこの曲を参照している。
  • アメリカのソウルデュオ、アイク&ティナ・ターナーは1973年のアルバム『Nutbush City Limits』でこの曲を演奏している[11]
  • アメリカのロックバンドであるTOTOは、2002年のアルバム『Through the Looking Glass』にこの曲のカバーを収録している[12]
  • アメリカのヒップホップグループ、ウータン・クランの1997年のアルバム『Wu-Tang Forever』に収録される「The City」は、この曲のカバーとみなすことができる。インスペクター・デックの歌うメロディーは原曲とは全く異なるが、「Living for the City」というセリフが度重なって使用される。
  • アメリカのR&B歌手アッシャーは、2010年のアルバム『Raymond v. Raymond』に収録されたシングル「Lil Freak」で、この曲をサンプリングしている。
  • ウェールズの歌手ボニー・タイラーは、1978年のアルバム『Natural Force』にこの曲のカバーを収録している[13]

脚注

  1. ^ 45cat - Stevie Wonder - Living For The City / Visions - Tamla - USA - T 54242F
  2. ^ a b “Stevie Wonder”. Billboard. 2023年1月17日閲覧。
  3. ^ Whitburn, Joel (2004). Top R&B/Hip-Hop Singles: 1942-2004. Record Research. p. 635 
  4. ^ “Rolling Stones Magazine's Top 500 Songs”. 2. 2011年8月14日閲覧。
  5. ^ “Renaissance - Ray Charles”. AllMusic. 2012年6月30日閲覧。
  6. ^ FM Fan編集部『ミュージック・データ・ブック 1955年-95年ビルボード年間チャート完全収録』共同通信社、1996年。ISBN 978-4-7641-0367-2。 
  7. ^ “Magic - Gillan”. AllMusic. 2012年6月30日閲覧。
  8. ^ GILLAN | full Official Chart History | Official Charts Company
  9. ^ “Mo's Barbeque - Bowes & Morley”. AllMusic. 2012年6月30日閲覧。
  10. ^ “Sun Goddess - Ramsey Lewis”. AllMusic. 2012年6月30日閲覧。
  11. ^ “Nutbush City Limits - Ike & Tina Turner”. AllMusic. 2012年6月30日閲覧。
  12. ^ “Through the Looking Glass - Toto”. AllMusic. 2012年8月30日閲覧。
  13. ^ “Natural Force - Bonnie Tyler”. AllMusic. 2012年8月30日閲覧。
先代
ザ・ステイプル・シンガーズ
イフ・ユーアー・レディ
Billboard Hot Soul Singles 1位
1973年12月29日 - 1974年1月5日(2週)
次代
アレサ・フランクリン
「Until You Come Back to Me (That's What I'm Gonna Do)」
スタジオ・アルバム
ライブ・アルバム
サウンド・トラック
ベスト・アルバム

グレイテスト・ヒッツ - グレイテスト・ヒッツ VOL. 2 - ミュージックエイリアム- スティーヴィー・ワンダー・グレイテスト・ヒッツ - フィール・ザ・ファィア~スティーヴィー・ワンダー・バラード・コレクション - ベスト・コレクション- Stevie Wonder: The Christmas Collection - スティーヴィー・ワンダー・ナンバー・ワンズ

ボックス・セット

アット・ザ・クローズ・オブ・ア・センチュリー

主な楽曲
関連項目

作品 - モータウン - クラビネット - タウラス・プロダクション

関連人物
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