プリン (化学)

曖昧さ回避 この項目では、複素芳香族化合物のプリンについて説明しています。核酸塩基のプリン(体)については「プリン塩基」をご覧ください。
プリン (化学)

7H-purine, 9H-purine(互変異性体

識別情報
CAS登録番号 120-73-0
PubChem 1044
MeSH Purine
  • C1=C2C(=NC=N1)N=CN2
特性
化学式 C5H4N4
モル質量 120.112
融点

214 °C

特記なき場合、データは常温 (25 °C)・常圧 (100 kPa) におけるものである。

プリン (purine) は、分子式 C5H4N4分子量 120.1 の複素環式芳香族化合物の一種である。中性の水には溶けにくく、酸性あるいはアルカリ性にするとよくとける。アルコール等の極性溶媒によく溶けるが無極性溶媒には溶けにくい。4つのアミノ酸二酸化炭素によって生合成されるが、工業的に生産することもできる。

プリン体

プリン塩基」も参照

アデニングアニンなどの、核酸ヌクレオチドの骨格を構成する核酸塩基として広く生物中に存在する。生化学栄養学ではアデニングアニンを中心とした、プリンを部分構造として持つ生合成・代謝産物を総称してプリン体と呼ぶ。

プリン体は代謝されると尿酸となる。尿酸は強力な抗酸化物質でありヒト体内において酸素が関与する有害な反応を減弱もしくは除去する働きがある一方で、尿酸が体内で析出して結晶ができると痛風発作を誘発する。痛風患者がプリン体を過剰摂取すると病状が悪化するといわれる。

歴史

ドイツ人化学者エミール・フィッシャーが、1884年に尿酸の還元により得られると想定した酸素を含まない化合物をPurinと命名した[1]。本人によれば、ラテン語のpurum(純粋な)とuricum(尿酸)を組み合わせて作った造語である[2]。彼が実際にプリンの合成に成功したのは1898年で[2]、尿酸 (8)を五塩化リン(PCl5)と反応させて 2,6,8-トリクロロプリン (10) とし、ヨウ化水素(HI)と PH4I を作用させて、2,6-ジヨードプリン (11) へと変換した。最後に 11 を亜鉛粉末で還元し、プリン (1) を得た。

フィッシャーによる尿酸からのプリン合成
フィッシャーによる尿酸からのプリン合成

脚注

[脚注の使い方]
  1. ^ Fischer, E. (1884). “Ueber die Harnsäure. I”. Ber. Deutsch. Chem. Ges. 17 (1): 328-338. doi:10.1002/cber.18840170196. 
  2. ^ a b Fischer, E. (1898). “Ueber das Purin und seine Methylderivate”. Ber. Deutsch. Chem. Ges. 32 (3): 2550-2574. doi:10.1002/cber.18980310304. 

関連項目

外部リンク

  • “プリン体の話”. 有機化学美術館. 2007年10月6日時点のオリジナルよりアーカイブ。2007年10月17日閲覧。
  • "食品のプリン体含有量". 両国東口クリニック.
  • "食品中プリン体含量 (PDF, 99 KiB) ". 公益財団法人痛風財団.
単環
三員環

ボリレン - シクロプロペノン

五員環
六員環
七員環
九員環
十八員環
二環
五員環+五員環
五員環+六員環
六員環+六員環
五員環+七員環
インドール
フェネチルアミン
プリン
ピリジン
ピロリジン
キノリン
イソキノリン
トロパン
テルペノイド
ベタイン

コリン | ムスカリン

典拠管理データベース: 国立図書館 ウィキデータを編集
  • 日本
  • チェコ