ジョン・ガードン (生物学者)
ジョン・バートランド・ガードン John Bertrand Gurdon | |
---|---|
生誕 | ジョン・バートランド・ガードン John Bertrand Gurdon (1933-10-02) 1933年10月2日(90歳) イギリス サリー州 |
国籍 | イギリス |
研究分野 | 生物学 発生生物学 |
研究機関 | ケンブリッジ大学 MRC分子生物学研究所 オックスフォード大学 カリフォルニア工科大学 |
出身校 | イートン・カレッジ オックスフォード大学クライスト・チャーチカレッジ |
主な業績 | 先進的な核移植の研究 伝令RNAの発現に関する研究 再生医学への多大な貢献 |
影響を 与えた人物 | 山中伸弥など |
主な受賞歴 | ウルフ賞医学部門(1989年) コプリ・メダル(2003年) アルバート・ラスカー基礎医学研究賞(2009年) ノーベル生理学・医学賞(2012年) |
プロジェクト:人物伝 | |
テンプレートを表示 |
|
ジョン・バートランド・ガードン(Sir John Bertrand Gurdon, FRS, 1933年10月2日 - )は、イギリスの生物学者。専門は発生生物学。ケンブリッジ大学名誉教授。山中伸弥と2012年度ノーベル生理学・医学賞を共同授賞した。
経歴
サリー州ディッペンホール生まれ。名門イートン・カレッジ卒業。幼少期から昆虫に興味を抱き、イートン校では何千匹もの毛虫を蛾にふ化させ教師に好かれることはなかった。15歳の通知表では「生物学分野への進学を考えているならば全くを持って時間の無駄である。そんな考えは直ちに放棄すべきこと。」と記されている[1]。イートン校の生物学クラスでは同級生250名の中で最下位。他の理系科目も最下位グループが定位置であった。父からは軍人か銀行員になるよう言われたが、イギリス軍の入隊検査に不合格となりオックスフォード大学クライスト・チャーチカレッジへ進学した。
オックスフォード大学入学当初は古典文学を専攻したが、入学担当者の手違いで理学専攻生枠が30名欠員となっており、生物学専攻への転籍に成功した。ガードンはこの転籍を「幸運な出会い」と後述している。大学院では昆虫学の研究でPh.D.取得を目指したが申請却下され、核移植の研究を行うことになった[1]。この核研究が後のノーベル賞受賞研究へとつながる。オックスフォード大学での指導教授はマイケル・フィシュバーグ博士で核研究に関する手ほどきを受けた。ガードンは晩年になってもフィシュバーグとの出会いに感謝している。
1960年にオックスフォード大学でPh.D取得後、ポストドクターとしてカリフォルニア工科大学で学ぶ。フィッシュバーグから新しい分野の研究を行うよう助言を受け、カリフォルニア工科大学ではボブ・エドガー教授の下でファジー研究を行った。しかしファジー研究は上手くいかず、1年後に胚研究へ戻る。カリフォルニア工科大学での研究は上手く進まなかったが、未知の研究領域を探究したことで科学者としての見識が広まったとフィシュバーグとカリフォルニア工科大学へ感謝するコメントを残している。
1963年にフィッシュバーグがジュネーブ大学へ移籍したことに伴ない空席となったオックスフォード大学クライスト・チャーチカレッジ動物学講座へ復帰(1963年 - 1971年)。この間、クライスト・チャーチカレッジで動物学講座助教授・准講師(准教授級)を経て、1971年にマックス・ペルツ教授の招きでケンブリッジ大学へ移籍した。1972年に新設されたMRC分子生物学研究所で研究を行い、1979年にMRC生物学部門長、1983年にケンブリッジ大学分子生物学講座教授、1989年ケンブリッジ大学ウエルカムトラスト/UKがんセンター・細胞生物学研究所を設立[1]。
1971年に王立協会フェロー(FRS)に就任。生物学研究の功績により1995年にイングランド国王からナイトの勲位を授与され“サー (Sir)”の称号を得る。1994年から2002年までモードリン・カレッジ長を務めた。
カエルの体細胞核移植により、クローン技術の開発に成功した。この研究がES細胞やiPS細胞の開発に結びつくことになった。その先達としての業績で、2012年度のノーベル生理学・医学賞を受賞した。
2004年には細胞生物学研究所がガードンの功績を讃えて、ガードン研究所へ改称された。
主な受賞
- 1974年 パウル・エールリヒ&ルートヴィヒ・ダルムシュテッター賞
- 1976年 クルーニアン・メダル
- 1984年 シャルル=レオポール・メイエ賞
- 1985年 ロイヤル・メダル
- 1989年 ウルフ賞医学部門、国際生物学賞
- 2003年 コプリ・メダル
- 2008年 ローゼンスティール賞
- 2009年 アルバート・ラスカー基礎医学研究賞(山中伸弥との同時受賞)
- 2012年 ノーベル生理学・医学賞(山中伸弥との同時受賞)
山中伸弥は、ガードンとのノーベル賞同時受賞に関して、「ガードン先生との同時受賞が、一番うれしいと言っても過言ではない。ガードン先生はカエルの研究で、大人の細胞が受精卵の状態に戻るということを核移植技術で証明した。まさに、私のしている研究を開拓してもらった」[2]と述べている。
脚注
- ^ a b c “「生物学の道は諦めろ」と言われていた、ノーベル賞のガードン博士”. AFPBB News. (2012年10月9日). https://www.afpbb.com/articles/-/2906647?pid=9653868 2012年10月14日閲覧。
- ^ “山中教授「まさに日本という国が受賞した賞」”. YOMIURI ONLINE. (2012年10月8日). https://web.archive.org/web/20121010203825/http://www.yomiuri.co.jp/science/news/20121008-OYT1T00647.htm 2012年10月14日閲覧。
外部リンク
- The Gurdon Institute - ケンブリッジ大学
- Professor Sir John Gurdon Kt DPhil DSc FRS - Department of Zoology
- LMB Congratulates John Gurdon on Nobel Prize Announcement - MRC分子生物学研究所
ノーベル生理学・医学賞受賞者 (2001年-2025年) | |
---|---|
リーランド・ハートウェル / ティモシー・ハント / ポール・ナース (2001) - シドニー・ブレナー / ロバート・ホロビッツ / ジョン・サルストン (2002) - ポール・ラウターバー / ピーター・マンスフィールド (2003) - リチャード・アクセル / リンダ・バック (2004) - バリー・マーシャル / ロビン・ウォレン (2005) - アンドリュー・ファイアー / クレイグ・メロー (2006) - マリオ・カペッキ / マーティン・エヴァンズ / オリヴァー・スミティーズ (2007) - フランソワーズ・バレ=シヌシ / リュック・モンタニエ / ハラルド・ツア・ハウゼン (2008) - エリザベス・H・ブラックバーン / キャロル・W・グライダー / ジャック・W・ショスタク (2009) - ロバート・G・エドワーズ (2010) - ラルフ・スタインマン / ブルース・ボイトラー / ジュール・ホフマン (2011) - ジョン・ガードン / 山中伸弥 (2012) - ランディ・シェクマン / ジェームズ・ロスマン / トーマス・スードフ (2013) - ジョン・オキーフ / マイブリット・モーセル / エドバルド・モーセル (2014) - ウィリアム・C・キャンベル / 大村智 / 屠呦呦 (2015) - 大隅良典 (2016) - ジェフリー・ホール / マイケル・ロスバッシュ / マイケル・ヤング (2017) - ジェームズ・P・アリソン / 本庶佑 (2018) - ウィリアム・ケリン / ピーター・ラトクリフ / グレッグ・セメンザ (2019) - ハーベイ・オルター / マイケル・ホートン / チャールズ・ライス (2020) - デヴィッド・ジュリアス / アーデム・パタプティアン(2021) - スバンテ・ペーボ(2022) - カリコー・カタリン / ドリュー・ワイスマン(2023) |
| |
---|---|
ジョージ・スネル/ジャン・ドーセ/ジョン・ファン・ロッド(1978年) · ロジャー・スペリー/アルビド・カールソン/オレー・ホルニキーヴィクツ(1979年) · セーサル・ミルスタイン/レオ・サックス/ジェイムズ・ゴワンス(1980年) · バーバラ・マクリントック/スタンリー・ノーマン・コーエン(1981年) · ジャン=ピエール・シャンジュー/ソロモン・スナイダー/ジェームス・ブラック(1982年) · ドナルド・スタイナー(1984/5年) · 早石修(1986年) · ペドロ・クアトレカサス/メイア・ウィルチェック(1987年) · ヘンリ・G・ハーズ/エリザベス・F・ニューフェルド(1988年) · ジョン・ガードン/エドワード・ルイス(1989年) · マクリン・マッカーティ(1990年) · シーモア・ベンザー(1991年) · ジューダ・フォークマン(1992年) · マイケル・ベリッジ/西塚泰美(1994/5年) · スタンリー・B・プルシナー(1995/6年) · マリー・F・リオン(1997年) · マイケル・セラ/ルース・アーノン(1998年) · エリック・カンデル(1999年) · アブラム・ハーシュコ/アレクサンダー・バーシャフスキー(2001年) · ウラジーミル・アーノルド/サハロン・シェラハ(2001年) · ラルフ・ブリンスター/マリオ・カペッキ/オリヴァー・スミティーズ(2002/3年) · ロバート・ワインバーグ/ロジャー・Y・チエン(2004年) · アンソニー・ハンター/アンソニー・ポーソン/アレクサンダー・レヴィツキ(2005年) · ハワード・シダー/アーロン・ラージン(2008年) · アクセル・ウルリッヒ(2010年) · 山中伸弥/ルドルフ・イエーニッシュ(2011年) · ロナルド・エヴァンス(2012年) · ネイハム・ソネンバーグ/ゲイリー・ラブカン/ヴィクター・アンブロス(2014年) · ジョン・カップラー/フィリッパ・マラック/ジェフリー・ラヴェッチ(2015年) · ロナルド・カーン/ルイス・カントレー(2016年) · ジェームズ・P・アリソン(2017年) · ジェフリー・フリードマン(2019年) · ジェニファー・ダウドナ/エマニュエル・シャルパンティエ(2020年) · ジョーン・A・スタイツ/リン・マクアット/エイドリアン・クレイナー(2021年) · ダニエル・J・ドラッカー(2023年) | |
カテゴリ |