シュールの不等式

シュールの不等式(シュールのふとうしき)は、イサイ・シュールに因んで名付けられた、非負実数 x, y, z と正数 t に対して成り立つ、次の絶対不等式である。

x t ( x y ) ( x z ) + y t ( y z ) ( y x ) + z t ( z x ) ( z y ) 0 {\displaystyle x^{t}(x-y)(x-z)+y^{t}(y-z)(y-x)+z^{t}(z-x)(z-y)\geq 0}

等号成立は x = y = z のとき、または x, y, z のいずれかが 0 で残り2つが等しいときのみ。また、t が正の偶数の場合はすべての実数 x, y, z について不等式が成り立つ。

証明

不等式は x, y, z について対称なので、xyz としても一般性を失わない。すると、示すべき不等式は

( x y ) [ x t ( x z ) y t ( y z ) ] + z t ( x z ) ( y z ) 0 {\displaystyle (x-y)[x^{t}(x-z)-y^{t}(y-z)]+z^{t}(x-z)(y-z)\geq 0}

と変形できるが、左辺の各項は明らかに非負である。

この証明により、シュールの不等式は次のように一般化できる。a, b, c を非負実数として、xyz かつ abc であるとき、

a ( x y ) ( x z ) + b ( y z ) ( y x ) + c ( z x ) ( z y ) 0 {\displaystyle a(x-y)(x-z)+b(y-z)(y-x)+c(z-x)(z-y)\geq 0}

が成り立つ。

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