アイヌア

アイヌアAinur、単数形:アイヌAinu)は、J・R・R・トールキンの小説『指輪物語』、『シルマリルの物語』に登場する想像上の種族。

概要

アイヌアはクウェンヤで聖なる者たち(Holy Ones)の意である。「Ainu」はクウェンヤの「aina」(聖なる)[1]から発生した単語である。この言葉は元々はヴァラリン(ヴァラール語)でのアヤヌーズAyanûz)から由来している。[2]唯一神エル・イルーヴァタールが最初に創造した種族であり、彼らはイルーヴァタールが、エア(宇宙)を含めた、他の全てのものを創造される以前からエルと共にあった。イルーヴァタールの思いから生まれた者たちだが、幾人かは兄弟関係として創られた。例えばマンウェメルコールがそうである。また、アイヌアはイルーヴァタールの思いから生じたが故に、イルーヴァタールの心のどの部分から生まれ出でたかによって、彼らの資質や理解できる範囲は、異なったり限られたりする。例外が全アイヌア中最大の力を持つメルコールで、彼は他のアイヌア(ヴァラ)の資質をも部分的に持ち合わせていた。

唯一神の示した主題に沿ってアイヌアたちが奏でた音楽が、創世の音楽、即ちアイヌリンダレである。

区分

アイヌアは皆エアの外側にいたが、イルーヴァタールは彼らにアルダに降ることを許された。そこで暇を乞うてエアに下向した者たちの中で、15名の力ある者達をヴァラールと呼び、残りの者をマイアールと呼んだ。

世界の中のアイヌア

彼らはトールキンの世界における天使的な存在に当たる。彼らの中にはエルの手で、不滅の炎(Flame Imperishable)が点じられているが故に、アイヌアは不滅の存在である。そして彼らはイルーヴァタールの子らとは異なり、必ずしも肉体が必要というわけではない。事実マイアールの殆どは肉の身体を纏わずに、霊的な存在のまま活動をしている。また彼らには性別はある。地上で肉身を持つ場合、ある者は男、またある者は女の姿を取る。この違いは彼らが初めから持っていたものであって、どちらかを選ぶことにより、表に現れたものであるのであって、選ぶことにより性別が作られるわけではない。

アイヌアは不滅であるため、完全に殺すということは不可能だが、その霊的な存在としての力が弱まることはある。その結果肉身を持つことも出来ず、世界に何の影響も及ぼせなくなってしまうということはあり得る。

過ちを犯すアイヌア

トールキンの世界における天使的存在アイヌアは皆全て、特に肉身を持っているときに、度合いの程度は様々だが、過ちや失敗を犯すものである。事実イスタリの中で、ガンダルフのみが課せられた使命に成功したのに対して、サルマンは失敗し堕落した。しかしながら、こういった過ちの中でも特に最悪なものが、モルゴスとその従者サウロンの二者による、完全な邪悪とサタン的な反乱であった。[3]

脚注

  1. ^ J.R.R.トールキン 『新版 シルマリルの物語』 評論社 2003年 524頁
  2. ^ J.R.R. Tolkien, Christopher Tolkien 『The History of Middle-earth Vol.11 The War of the Jewels』1994年 Harper Collins 399頁
  3. ^ J.R.R. Tolkien, Christopher Tolkien 『The Letters of J.R.R. Tolkien :Letter#156』 1981 GEORGE ALLEN & UNWIN 216-217頁
中つ国のアイヌア
アイヌリンダレ(アイヌアの音楽)
男性格のヴァラール

マンウェ | ウルモ | アウレ | オロメ | ナーモ(マンドス) | イルモ(ローリエン) | トゥルカス

女性格のヴァラール
黒き敵

モルゴス(メルコール)

マイアール

エオンウェ | イルマレ | オッセ | ウイネン | サルマール | サウロン | メリアン | アリエン | ティリオン | ゴスモグ
クルモ(サルマン) | オローリン(ガンダルフ) | アイウェンディル(ラダガスト) | 青の魔法使い | ドゥリンの禍

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